お役立ち情報

安全に山を楽しむために

知っておこう!登山で気をつけるべきこと

01登山計画を立てる

登山をする前には登山計画を立てましょう。出発時間、アプローチと交通機関、登山口、ルート、目的地(泊まりなら宿泊予約も)、そのコースタイムなどについて調べ、スケジュールを組んでいきます。コースタイムには休息や食事の時間を入れるのを忘れないように。登山地図などにあるコースタイムは、晴天時に一般的な登山者が歩く場合の時間となっています。初心者や体力に自信のない人は特に余裕のあるスケジュールを立てることが重要です。
エアと装備、携行品リストもあらかじめ作っておきましょう。忘れ物をしてしまったために大きなトラブルにつながる可能性もあります。悪天候時の回避ルートや携行食糧についてなど、危機管理の計画も忘れないように。

02地図を読み解く力をつける

山岳遭難の原因のうち最も多いのが道迷いです。眺望がきかない樹林帯のトレイルや、獣道が交差するトレイルなど、道迷いの要素は低山にもあります。登山に地図が必携ですが、せっかくの地図も読み解く力がなければ役に立ちません。基本的な地図記号を知ることで針葉樹林なのか広葉樹林なのかなどの植生や、川や滝、荒れ地、崖、砂れき地などの地勢がわかります。登山道を示す線がどれかを見分け、等高線の間隔によってトレイルの斜度を理解することで、自分の歩くトレイルの大まかなイメージがつかめます。
地図を読み解く力を身につけると同時に、コンパスの使い方を習得しておくといいでしょう。目的地の方位や現在地を把握したり、遠くに見える場所が地図上のどこなのかを調べるのに役立ちます。

03天候の急変に注意する

山の天候は変わりやすいもの。ついさっきまで青空だったのに、どこからともなく急に霧が押し寄せてきて視界がゼロになったり、突然に大雨や雷、強風が発生することも珍しくありません。特に昼過ぎに天候が変わることが多いため、登山は早い時間に登り始め、昼過ぎには下山を始めるというのが基本です。
スマートフォンの天気予報アプリなどで、天候を予測することもできますが、雲や風の状況から天候を判断する「観天望気」を知っておくと役立ちます。

Point

  • 天気は西から崩れる
  • 山頂に笠雲がかかると天気が崩れる
  • 太陽や月に輪がかかると天気が崩れる
  • 積乱雲(入道雲)が真上に来たら一刻も早く安全な場所へ行くこと
  • うろこ雲(巻積雲)は天気が変わる予兆

04ライフジャケットを身に付ける

川は場所によって流れが急激に速くなる場合があるだけでなく、海と違って真水は体が浮かびづらい為、万が一に備えライフジャケットの着用をオススメします。
国土交通省の調査によると、着用時の生存率は非着用時に比べて2倍以上で、川遊びに慣れた人ほどライフジャケットを着用しています。

05体調に気をつける

健康で丈夫な人でも環境が変わることで体調に異変が起きたり、気が緩んで無理をすることで体調を崩してしまうこともあります。登山中に起こりがちな体調不良には熱中症・日射病、低体温症、高山病(低酸素症)、食中毒などがあります。
熱中症・日射病を防ぐためには、炎天下に長時間太陽にさらされ続けることを避け、十分な水分と必要な量のミネラル(塩類)補給を行いましょう。
雨に濡れたままでいたり、防寒対策が不十分だと低体温症を引き起こします。体温が低下するにつれて判断力・運動能力が急激に低下し、やがて意識低下が起こり、危険な状況に陥ります。濡れた衣服はこまめに着替え、夏でも防寒対策を怠らないように気をつけましょう。
食中毒は特に夏場に起こりやすいものです。弁当などの扱いには注意が必要です。

06単独行動を避ける

天候の変化や体調の悪化など、さまざまな判断が必要とされる登山は「単独行動を避ける」のが原則です。特に初心者のうちはケガや遭難の危険性が高いので、経験者と一緒に行動しよう。初心者が参加できる登山ツアーや登山サークルもあります。
単独で登山中にケガや病気などで動けなくなれば、そのまま遭難となってしまいます。2人での登山も、どちらか一方が動けなくなると、助けを呼びに行く間は単独行動となってしまいます。経験者を交えた3〜4人で登るのが安心です。

07疲れない登り方・歩き方

登山の歩き方と普段の歩き方には違いがあり、石や木の根につまづかないよう膝をしっかり上げて歩くのが基本です。少し前傾になって、頭から足の裏までが一直線になるような体勢で膝を上げると自然に重心が前に移動し、楽に歩くことができます。歩幅は小さく、着地は足の裏全体で、全身を使って歩くことを心がけましょう。ストックを使うと無理なく上半身の力を使って歩けるようになります。登りは足を外側に開きながら歩くと足首が疲れません。
階段の上りでは反動をつけて登ったり、後ろ脚で地面を蹴ったりすると疲れてしまいます。前の脚を上の段に下ろし、真上に伸びるような感じで重心を移動させると疲れにくくなります。階段の下りはドスンと脚を下ろしてしまうと膝や足首を痛めやすくなります。後ろ脚に重心を残したまま前の脚を着地させ、脚が下り切ったら重心を全て移動させます。

08こんな場所は危険

登山地図には事故が多い場所や注意が必要な場所、危険な場所に「危」の印が記載されていますが、地図に記載がない場合でも危険が潜んでいる場所はあります。
ガレ場やザレ場と呼ばれる岩や石がゴロゴロしている斜面で、一番気をつけたいのが浮石です。気づかずに足を置くと石がずれて転んだり、ケガをする恐れがあります。また自分が落石の原因になってしまうこともあります。もし落石にあったり、落石を起こしてしまったら大きな声を出して周囲に知らせましょう。路肩が崩れやすい場所、頭上からの落石がありそうな場所も注意が必要です。足元と頭上の両方に気を配り、トレイルの状況をよく確認しながら進みましょう。
一見歩きやすい木道や木の階段は、濡れると滑りやすくなって危険です。また、切り立った尾根道では強風にあおられて転倒したり、最悪の場合には滑落してしまうこともあるので注意が必要です。

09注意すべき動植物とその対応

山には人間にとって危険な動物や虫、植物もあります。“不用意に近づいたり触ったりしない”ことが被害にあわないための鉄則ですが、不幸にも被害に遭ってしまった場合は落ち着いて対処しましょう。それらとの接触を防ぐ意味でも、一年を通して長袖シャツ、長ズボン、グローブを着用したいものです。
身近にある危険としてはスズメバチや吸血性のアブやブヨ(ブユ)、ニホンマムシやヤマカガシ、接触すると炎症を起こすウルシやハゼなどの植物などです。イノシシやシカ、サルなどの野生動物も人を襲う場合があるので、もし見かけたとしても近寄らないことが大切です。

スズメバチに刺された場合

スズメバチに刺された場合

刺された場所が巣の近くなら、速やかにその場所から離れてください。傷口から毒液をしぼり出しながら清潔な水でよく洗い流し、抗ヒスタミン剤かステロイド系の薬を塗りましょう。短時間でアナフィラキシーショックを起こす場合もあるので、すぐに救急指定病院を受診してください。

毒蛇に咬まれた場合

毒蛇に咬まれた場合

毒蛇に咬まれたらできるだけ落ち着いて行動することを心がけてください。傷口を洗って消毒し、患部を心臓より高く上げて速やかに救急指定病院へ。

ツタウルシ

ツタウルシ

接触すると皮膚が炎症を起こす植物にハゼやウルシがあり、その中でも特に毒性が強いのがツタウルシです。接触するとかゆみを伴ったかぶれを起こしますが、症状は1〜2日後に出るともいわれています。発症したらすぐに皮膚科を受診しましょう。

イノシシ

イノシシ

見かけたら決して近寄らないこと。もし遭遇してしまったら、目をそらさないようにして少しずつ静かに遠ざかり、相手が去っていくのを待ちましょう。大声をあげて威嚇したり脅かしたりすると突進してくることがあります。とくに子連れの場合は危険なので注意してください。シカに遭遇したときの行動も原則は同じです。サルは目を合わすと威嚇されたと思い、襲われることがあるので視線を合わせないようにしましょう。

10引き返す勇気を持つ

「あと少しで山頂なのに」「せっかくここまできたのに」と、無理して登山を続けることで大きなトラブルを引き起こしかねません。
“天候が下り坂になりそう”、“この道で正しいのか自信がない”、“体調が悪いけどがんばれば何とかなるかも”などという登山を続けていいか迷う状況に遭遇したら、引き返す判断を下す勇気を持つことが大切です。

11緊急時の行動 〜ケガ〜

登山や川遊び中にケガをしても、すぐに病院で処置してもらうことはできません。もしもの場合に備えてケガの対処法と、必要なファーストエイドキットを確認しておきましょう。
捻挫は濡らしたタオルで患部をよく冷やし、テーピングで強めに固定することで悪化を防ぎます。
切り傷・すり傷は綺麗な水で砂などの異物を洗い流し、消毒してから清潔なガーゼを当てて圧迫し止血します。
靴ズレは、違和感を感じたらすぐにテーピングなどを巻いてカバーし、マメになってしまう前に予防することが大切です。
骨折の応急処置は折れた骨を元の位置に戻して固定し、患部を冷やします。応急処置が終わったら速やかに下山、もしくは救助を要請しましょう。

12緊急時の行動 〜遭難〜

「自分は大丈夫」「低山だから心配ない」といった油断が遭難を引き起こします。適切な準備と対応で遭難を防止すると同時に、遭難したときに取るべき行動を知っておきましょう。
道に迷ったときにはまず気持ちを落ち着かせることが重要です。パニックに陥り、普段では考えられない行動を取ってしまうことで死につながることにもなりかねません。気持ちが落ち着いたら上を目指しましょう。頂上付近だと携帯電話の電波がつながる可能性もあり、あたりを見渡すことで自分の位置を知ることができる場合もあります。沢を下ると全然知らない場所に出たり、途中で降りられない滝に出会ったりすることもあり、捜索のヘリコプターからも見つけにくい死角になります。
日帰り登山であっても夜間歩行とビバークの覚悟をしておけば、開き直って一夜を明かし、ゆっくり解決策を考えることもできます。登山届を提出すること、家族や友人に登山スケジュールを伝えておくことも大切なこと。遭難は自分だけのことではなく、たくさんの人に心配と迷惑をかけることであるとしっかり自覚しましょう。